けんそんのしおり

書籍「けんそんのしおり レオ13世著・デランジェラ訳 ドン・ボスコ社」 を初めから少しずつ書き写し掲載していきます。

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 真にけんそんな人となる最良の方法は、他人の愛をのぞまないことである。心は善だけ愛するものであるから、愛と尊敬とを区別するのは困難である。つまり愛をのぞめば尊敬されることも望むようになる。真にけんそんな人になろうと思えば、人に尊敬され好意をもたれることをのぞんではならない。それは あなたに おおいに 役立つであろう。 人の愛をのぞまない者がよりたのむのは、ただ救い主イエズス・キリストだけであり、なぐさめを求めるのは神のいいつくせない甘美だけである。神のなぐさめは人間の愛と異なり、この世の快楽を捨てなければ味わうことができない。神を信じ、神の全善を思い、魂をあげて神と一致しようとするとき、この世において神といっしょに生きることができる。

 人間の愛をのぞまず、ひたすら神の愛だけをうることをたのしみとし、神を愛する念で心をみたし、それ以外のことに心をうばわれないことこそもっともたいせつである。