けんそんのしおり

書籍「けんそんのしおり レオ13世著・デランジェラ訳 ドン・ボスコ社」 を初めから少しずつ書き写し掲載していきます。

28

あなたは、自分ほどわるい相談相手はないと考えよ。また自分の意見は、経験のない、悪にかたむいた人の意見だと思え、したがって何かきめるときには、他人から助言を受けなけらばならないと考えて、独断でことをきめず、他人の判断をねがえ。 他人のすすめを…

27

どんなことをするにも心をこめてせよ。おこたりや軽率は高慢からでるもので、けんそんな人のけっしてすることではない。高慢な人は、他人と別格のものであることをのぞみ、けんそんな人は異常でないことをのぞむものであるから、あなたもごく普通のことをお…

26

真にけんそんな人となる最良の方法は、他人の愛をのぞまないことである。心は善だけ愛するものであるから、愛と尊敬とを区別するのは困難である。つまり愛をのぞめば尊敬されることも望むようになる。真にけんそんな人になろうと思えば、人に尊敬され好意を…

25

あなたがもし、無実のそしりをうけたり、あなたよりおとった人やとがのある人から苦情をいわれたりすることがあれば、それをすぐさまおこってしりぞけないで、むしろ自分をふりかえり、はずかしいところや、いやしいところがあるならば、それを告げよ。しか…

24

他人からあたえられるたべものは、どんなにそまつなまずいものであってもきらってはならない。貧しい人が残りものをよろこんでたべるのとおなじ態度であれ。粗悪なものであっても、それをもたったことを心からよろこべ。

23

あなたが反抗され、ぶじょくされたとき不平をいうな、自分が受けねばならぬ罰を考えれば、どんな無礼もあまんじてうけてよいあなたである。 思いがけない苦悩と悲哀を受けることがあっても、自分はこれよりも大きな苦しみを受けるべきものであるから、なぐさ…

22

日ごろ けんそんを えるようにつとめよ。自分を にくみきらう人にたいして、とくにけんそんを実行せよ。そのような人に ふくしゅうしようとまでは思わないにしろ、いっしょに生活するに耐えないなどと不平をいうな。慈悲の念をもって高慢をおさえよ。他人を…

21

他人に慈善をおこない、しんせつをつくしたとしても、その恩にむくいてもらおうと思うな。他人に善をおこなったのは義務のためである。じぶんはいやしい人間であって、人の尊敬をうけ、人から感謝されるねうちはないのである。

20

信仰者にとって、いかりはゆるしがたい罪である。それは高慢から生じたものである。もしあなたの心にいかりの念がうかぶなら、しずかにおだやかにそれをおさえ、他人の無礼にたいして分別をうしなってはならない。 あなたは忍耐をもって他人の短所や欠点をし…

19

あなたに無礼なふるまいをし、あなたをそしり、あなたを妨害してよろこんでいるものがあれば、あなたは、神がその人をつかって私の高慢をくだこうとなされるのだと考え、その人は神のおんあわれみのてだてであると考えて、その人をうやまいしたわねばならな…

18

他人があなたに不正なおこないをしても、けっしておこってはならない。よしおこらないまでも、相手がそのあやまちをさとって謝罪にくるのをこころまちしてはならない。まったく不正を受けなかったかのようにけんそんをまもり、そのあやまちの責任は自分にあ…

17

他人と話しているときに議論になって、どちらが是か非かをさだめねばならなくなるまえに、議論をやめよ。あなたのほうがまちがっているといわれたら、そうではないと思ってもすなおに口を閉じよ。相手があきらかにまちがっている場合にも、それが無益なこと…

16

どんな場合にも、他人を非難し、他人のおこないをうんぬんするのは悪いことであるから、他人のことばやおこないは、寛容にうけいれなければならない。もし人のことばやおこないに悪いところがあっても、できるだけそのなかからよいところを見つけだせ。他人…

15

あなたは、たえず自分のおこないをくい、自己愛におちいって数多くの罪をおかしたみじめな人間である自分をとがめ、おこないをあらためるようにせねばならない、きよからぬ自分のおこないをたえず責めている人は、真にけんそんな、よいキリスト信者となるで…

14

身体と精神のいこいの場所がないときにも、赤貧にあまんじねばならない身分にとっては、これでも身分にすぎたものだと考えねばならない。

13

人といっしょにいるときには、福音のみことばにしたがって、もっとも低いところをえらび、自分がいるべき場所はここであると本心から考えて、それに満足しなければならない。生活の必要品にしても、自分は他人よりもおとるものであるから、もっとも下等なも…

12

あなたは、目上にたいしてはもちろん、同輩の人にも目下の人にも尊敬をうしなってはならない。聖パウロは、つねにさきだって他人に礼をつくせといっている。習慣どおり、あなたはだれにも礼儀正しくあれ。ちがったふうにすれば、高慢のしるしである。

11

あなたは、むなしい、無益なことを知りたがるな。美しいもの、めずらしいものにあこがれるな。自分の義務をはたし、善行と魂の平和に益するもの以外は、むやみに知りたがってはならない。

10

人とはなすときには、あざわらいや饒舌をろうしてはならない。また、そうしなければならないとき以外は、けっしてみ教えを論じて人を教えさとそうとしてはならない。むしろ学識のある人に疑問をただすことを心がけよ、み教えを論じて人を教えさとすことは、…

はなすときには、自分をほこったり、他人にへつらったり、下品な冗談をとばしたりしないようにとくに気をつけねばならない。はなしのあいまにも、自分の名誉や才能や手腕を鼻にかけるようなことがあってはならない。けっきょく自分のことと自分を益すること…

あなたには、ことば少なく、つつしみぶかくあってもらいたい。しかし、もしあなたのその態度が、ほかの人の不便になり、ほかの人にけんお感を起こさせるとしたら、それも気をつけねばならない。 ほかの人とはなすときには、ことばをつつしまねばならない。自…

心のなかでけんそんをもっていても、それを外にあらわせないものは、真のけんそんとはいえない。しかし、心のなかに真のけんそんがあれば、かならず外にもあらわれるはずである。心とおこないとが、このようにつねに一致してこそ、真のけんそんの持ち主とい…

この世に生まれたからには、あなたも死と腐敗とをさけることができない、そして死ねば、イエス・キリストのおそるべき審判の座へ出なければならない。悪い人々、悪魔のような高慢な人々のためには、地獄に刑罰が用意されているのである。 いうまでもなく神の…

どんな罪でも、どんな凶悪な罪悪でも、他人がおこなったならば、あなたもおこなう可能性があるのである。もしそれを今日まであなたがおかさずにすんだならば、それは神のおんあわれみとおん助けによるものである。聖アウグスティヌスは、「神によってつくら…

以前におかした罪をけっして忘れてはならない。とくに高慢の罪は、現世ではもちろん、来世においても、ほかにくらぶべくもない、はなはだしい悪であることを思え。天において、天使をだらくさせたものは何か?高慢である。地において、人類のすべてを腐敗さ…

あなたは、元来弱いもの、おろかなもの、欲望におぼれたもの、神を軽んじるもの、財宝を重んじるものである。これらの悪が、たえずあなたにつきまとっているのである。あなたは自分を無とすることができず、欲望をさっぱりと追いはらう力のない、弱い、いや…

自分で反省してみて、じつに自分は本来無なのだとさとり、自分の心にある高慢をいとってそれをしりぞけるようにつとめなければならない。あなたのもっている長所は、自分の力でえたものではなくて、つくり主のみめぐみによって与えられたものである。したが…